研究概要 |
当該年度においては未投薬・初発の統合失調症罹患患者21名に対して拡散協調画像を撮像し、あわせて臨床症状、認知機能検査を実施した。対象の診断にあたってはDSM-IVに準拠し、器質性精神疾患や物質依存の合併を有する者は対象から除外した。一方年齢、性別と教育年数を合わせた健常者に対しても同様に拡散強調画像を撮像した。頭部外傷治療などで金属を頭部にみとめるものや、ペースメーカー使用者は対象から除き、検査に際しては本人及び家族に対して口頭および文書にて本検査の説明を行い、同意を得られた後に検査を行った。対象とした患者は当科外来受診者が全てであった。 撮像は1.5TのMRI装置を用いて行い、頭蓋内占拠病変を除外するために通常のT1, T2協調画像の撮像を行った後、以下の条件にて拡散協調画像の撮像を行った。 EPI sequence: TR=2300ms, TE=122ms, b=1000sec/mm2, 6-axis encoding, FOV=230mm, Matrix=128*128. Slice spacing=3.3mm, slice thickness-3mm, Averaging= その後得られた画像をPC上にて起動するdTV-IIを使用し鈎状束の繊維走行を描出し得られた走行に属するvoxelのFA値、ADC値を検討に用いた。鈎状束の定義は先行論文に準拠して行い複数の計測者が計測し、得られた値の妥当性と信頼性をICCをもちいて検討した。 その結果左右の鈎状束において疾患罹患者のFA値の低下とADC値の上昇が認められた。また疾患罹患者の臨床症状や認知機能とFA値、ADC値において有意な相関は認められなかった。妥当な健常群を募集し検査を施行、比較検討を行うことが今後の喫緊の課題である。本結果は従来の報告を指示し統合失調症において白質病変の存在を示唆するものと思われた。
|