事象関連電位N1成分は刺激の受容を反映し、聴覚刺激に対して約100ミリ秒後に出現する陰性成分である。幻聴の生成と関連することが想定されているcorollary dischargeのシステムによるN1成分の振幅の変化がみられるかどうか検討するため、健常者および統合失調症患者を対象として、聴覚刺激を用いて発声条件における事象関連電位の記録を行った。この結果、健常者においては、発声条件においてN1振幅の減少がみられた。これに対して統合失調症患者においては、この効果は認められなかった。この結果は、corollary dischargeの障害が統合失調症の病態に関連することを示唆している。
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