研究課題/領域番号 |
19591375
|
研究機関 | (財)神経研究所 |
研究代表者 |
林田 健一 財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (30338933)
|
研究分担者 |
井上 雄一 財団法人神経研究所, 研究部, 部長 (50213179)
岡 靖哲 財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (60419025)
對木 悟 財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (90376765)
内藤 陽子 (駒田 陽子) 財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (40451380)
|
キーワード | 神経科学 / 睡眠学 / 睡眠時無呼吸症候群 / 眠気 / CPAP |
研究概要 |
H19年度は、経鼻的持続陽圧呼吸療法(nasal Continuous Positive Airway Pressure:nCPAP)後、残遺眠気を呈する閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome:OSAS)患者の実態と臨床特性について調査した。 <方法>代々木睡眠クリニックにてnCPAP治療管理中のOSAS患者976例より、平均4時間以上の機器使用にも関わらず、Epworth Sleepiness Scale(ESS)得点11点以上の病的水準の眠気が持続する症例を残遺眠気群として抽出した。調査項目は、年齢、肥満度、過眠・いびきの発症年齢、高血圧症や薬剤使用および他の睡眠障害合併の有無、診断時ポリソムノグラフィーの呼吸障害指標、覚醒維持薬の使用状況とした。他の睡眠障害の合併につき検討した上で、他の睡眠障害の合併のない中核群について、重症度、過眠発症年齢、過眠といびきの発症年齢の差を比較した。 <結果>残遺眠気の頻度は5.7%(56/976例:男性53例、女性3例)であり、ナルコレプシー7例、周期性四肢運動障害6例、不眠症5例、器質性過眠症2例、概日リズム睡眠障害1例の合併を認め、他の睡眠障害の合併のない中核群と考えられる症例は2.4%(23/976例)であった。不眠症群の過眠発症年齢が他の3群より高齢である以外には群間で臨床特性に差は認められなかった。中核群での重症度、過眠発症年齢、過眠発症といびき発症年齢の差について、特徴的所見はなかった。また中核群における覚醒維持薬に対する反応例(ESS4点以上改善)は、8例中2例であった。 <考察>残遺眠気は全体の2.4%と無視できない割合で認められたが、発症背景は特定できず、多要因の関与が推察された。また覚醒維持薬による治療についても、反応性は充分とはいえず、今後の治療戦略の確立が急務と考えられた。
|