DSM-IVの診断基準に基づいて大うつ病性障害、統合失調症と診断され、大阪医科大学精神神経科に入院しているもののうち、本人あるいは代諾者により研究への同意を得られた患者16名(男性8名、女性8名、平均年齢56.81歳)を対象とした。本研究は大阪医科大学倫理委員会の承諾受けており、研究に関する全ての過程は個人情報保護、人権に配慮して行った。 電気けいれん療法は週2回で3週間連続で行い、原則として計6回の電気けいれん療法を1クールとした。初回電気けいれん療法の前日、3回目の翌日、6回目の翌日と1クール終了の1週間後に採血を行い、その際にうつ病患者に対してはMADRAS、統合失調症患者に対してはBPRSで臨床効果の推移を評価した。Th1 Cytokineとして、TNF-alphaとINF-gamma、Th2 CytokineとしてIL-4とIL-6の各mRNA発現量を定量的PCR法で測定した。その結果、個々のCytokineの発現量の変化では、明らかな臨床症状との関係は認めなかった。Th1 CytokineとTh2 Cytokineの比率でみると、大うつ病性障害ではTh2優位へ、統合失調症ではTh1優位へ臨床症状の改善と共に比率の変化がみられた。個々のCytokineの単純な発現量の変化が症状変化や臨床効果をもたらすのではなく、Th1 CytokineとTh2 Cytokineの比率の変化が重要である可能性が考えられた。
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