研究概要 |
本研究では、ErbB4シグナリングの統合失調症への関与を遺伝子関連研究により検証しようとするものである。日本人および中国人の家系サンプルについては、すでに384プレートに配置されており解析準備が完了している。日本人症例、対照サンプルは当初の予定を上回り、それぞれ1,000人以上に達しているため、これらにつき年齢と性を一致させた解析パネルを作成中である。ErbB4シグナリング機能の一つである髄鞘化にとくに深く結びついた遺伝子を選定した。ジェノタイピングするマーカーは、連鎖不平衡を考慮した場合に最も効率的にゲノム変異を網羅するように、Carlsonらによる方法により選んだ(tagSNPs)。さらに過去の研究において有意な関連が報告されたマーカーが存在する場合には、そのマーカーを解析対象に加えた。これらのマーカーにつきジェノタイピング用のプローブ(Taqmanプローブ)を準備している。 上記のような実験準備と平行して、コンピュータ処理についての基盤整備を進めている。統計解析に用いる予定であるコンピュータプログラム(FBAT、FITFなど)はすでに研究室内サーバーにインストールし既存のデータセットを用いた試験解析で適切に作動することを確認した。また、当研究室においては従来、双極性障害及び統合失調症についての全ゲノム関連解析やDLG4(PSD-95)遺伝子ジェノタイピングデータなど本研究に関連性の深いデータセットを蓄積している。本研究とこれらの研究の成果を将来有機的に連結できるデータベースシステムの設計に取り組んでいる。
|