Adamkiewicz動脈描出の臨床応用を、昨年度に引き続き、胸部下行大動脈、胸腹部大動脈の開胸手術およびステントグラフト留置術前は基本的に全例でMDCTによるAdamkiewicz動脈描出を行い、肋間動脈再検および手術法選択に応用した。 多施設共同研究の、「脊髄障害防止の観点から見た胸部下行・胸腹部大動脈瘤外科治療ないしはステントグラフト治療体系の確立」JASPER;Japanese study of Spinal cord Protection in descending and thoracoabdominal Aortic Repairのプログラムに当院心臓血管外科と共に参加しさらに症例を積んだ。胸部大動脈瘤手術時に術中冷却液環流と脊髄温度測定により脊髄動脈への側副血行動態がわかるようになり、ワークステーションによる検討を行った。 その結果、大動脈瘤、解離症例ではAdamkiewicz動脈を栄養する肋間、腰動脈は狭窄、閉塞を合併していることが多くCT、MRIにて同定されたAdamkiewicz動脈近傍の分節動脈が責任血管となっている場合があることが分かった。本研究の集大成としてAnnals of Vascular Diseases誌にSimultaneous Evaluation of the Whole Aorta and Artery of Adamkiewicz by MCTとして、大動脈およびAdamkiewicz動脈の同時評価法と有用性についてのまとめを発表した。 Adamkiewicz動脈スキャンのプロトコールにおいて併せて描出された他の微細構造についての解析の研究もさらに進み、胸管および肝動脈側副路微細血管の臨床応用についての論文が掲載された。 微細副腎静脈描出の臨床応用はさらに症例を追加し、国際学会での発表にてMagna Cum Laudeを受賞した。
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