術前化学療法が施行される局所進行乳癌患者に対して、治療効果の最終判定に関するMRIの各撮像法(ダイナミックMRI、拡散強調像、MRスペクトロスコピー)により評価を3テスラの磁場強度を持つMRI装置を用いて試みた。3テスラ装置では、予想に反して、1.5テスラ装置よりも雑音がむしろ強調された画像しか得られず、本研究に必要となる高精細画像、拡散強調画像およびコリンの信号が雑音と混じり得られなかった。原因を探ったところ、乳房はその形状により磁場が不均一であり3テスラという強い磁場を持つMRI装置の磁場が安定しないため雑音が強調されてしまうことが分かった。 この問題を解決しないことには、本研究の遂行に必要不可欠な拡散強調画像を含む画像データやコリン信号が得られず研究が進展しないため、この問題を解決させることを優先した。原因を究明した結果、MRI装置内のソフトウェアを改良しないと解決できないことが判明した。19年度は、このソフトウェアの改良を主眼に置くこととなった。 平成19年12月時点では、かなりの改良が行われ、乳癌病変のコリンピークを検出できる確率が向上するようになったが、同一患者でコリンピークの検出を得ることや、安定した拡散強調画像を得ることに関しては、まだ再現性に問題が残った。 しかし、暫定的に術前化学療法を施行予定の患者に対して、3テスラMRIを使用して予定の撮像を開始した。
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