研究概要 |
がん診断における^<18>Fグルコース(^<18>F-FDG)ならびに^<18>F標識αメチルタイロシン(^<18>F-FMT)を用いたポジトロンCT(PET)の有用性の評価と,治療効果判定への応用に関する研究を行った。 まず^<18>F-FDGPETの治療効果判定における有用性に関するこれまでの研究では,化学療法や放射線治療の治療効果を見るものが多かった。今回の研究では,分子標的治療に対する早期の治療効果判定における有用性を評価した。肺腺癌で上皮増殖因子(EGFR)に遺伝子変異が確認され,EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるgefitinibによる治療を行う患者の治療前と治療開始2日後および4-6週後に^<18>F-FDGPETを行った。 治療2日後には,^<18>F-FDG集積が低下し,低下は6週後に顕著になった。FDGの集積低下と予後には相関が見られ,CTによる腫瘍縮小率よりも無増悪生存期間と相関する可能性が示唆された[1]。 次に^<18>F珊による非小細胞肺癌の診断における有用性を検討した。^<18>F-FMTは非腫瘍性疾患であるサルコイドーシスには集積せず,^<18>F-FDGと比較して腫瘍に対する特異性が高いことを確認した[2]。^<18>F-FMTは扁平上皮癌に高率に集積してPETによる診断が有用であり,^<18>F-FMTの集積はL型アミノ酸トランスポータのなかで腫瘍特異的であるLATIと相関することを明らかにした。またLATIの発現はKi-67の免疫組織染色で評価した腫瘍の増殖能と相関することを見出した[3]。 [1]Sunaga N,Oriuchi N, et. al.Usefulness of FDG-PET for early prediction of the response to gefitinib in non-small cell lung cancer.Lung Cancer 59:203-210,2008. [2]Kaha K,Oriuchi N, et. al.Fluorine-18-A-Methyltyrosine Positron Emission Tomography for Diagnosis and Staging of Lung Cancer:ACIinicopathologic Study.Clin Cancer Res 13:6369-6378,2007. [3]Kaira K,Oriuchi N, et. al.Diagnostic usefUlness of fluorine-18-alpha-methyltyirosine positron emission tomography in combination With ^<18>F-fluorodeoxyglucose in sarcoidosis patients.Chest131:1019-1027,2007.
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