研究課題/領域番号 |
19591400
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
織内 昇 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40292586)
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研究分担者 |
塚本 憲史 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10292583)
飯田 靖彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60252425)
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キーワード | ポジトロンCT / 分子標的治療 / 悪性リンパ腫 / 18F-FDG / LAT-1 |
研究概要 |
各種がんの初期診断におけるF-18-FDG PET(FDG-PET)の有用性は確立されている。FDG-PETはX線CTなどと比較してがんの病巣に対する特異性が高く、特に治療後の評価はCTよりも正しく行うことができるとされている。しかしFDGは腫瘍細胞の活性を正確かつ特異的に表さないことがあるため、より特異性の高いアミノ酸のトレーサーであるF-18-FMT PET(FMT-PET)の腫瘍集積をFDG-PETと比較し、治療効果判定と予後予測におけるFMT-PETの有用性を評価した。 今回の研究では、まず非小細胞肺がんの症例にFDG-PETおよびFMT-PETを施行して両者の結果を比較した。手術で切除された組織に免疫組織染色を行い、LAT1の発現を評価した。 PETによる両者の集積を定量評価した結果、肺がんの原発巣におけるFMTの集積は、絶対値としてはFDGより少ないが、2cm以上の腫瘍の描出能は同程度であった。組織系としては扁平上皮がんには比較的高い集積を示すが、腺がんには集積が低かった。FDGが非特異的に集積する肺門リンパ節にFMTは集積せず、リンパ節転移の診断に関する特異度は、FDG-PETよりもFMT-PETのほうが高かった。 次にFMTの集積機序としてL型アミノ酸トランスポーター1(LAT1)による輸送を臨床例におけるLAT1の発現とFMT集積との相関を免疫組織染色で明らかにした。その結果、FMTの集積はLAT1の発現と有意の相関を示した。またLAT1の発現が陽性の患者群の5年生存率は、陰性の患者群と比較して有意に低いことが明らかにされた。 以上よりFMT-PETは腫瘍特異的に発現しているLAT1を介して細胞内に輸送され、肺がんの診断ならびに治療後の予後評価に有用なことを明らかにした。
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