研究概要 |
MRIの急速な発達はCTよりも組織分解能にすぐれた3Dイメージを被検者に対し被曝させることなしに得ることを可能とし,MRIから得られた高分解能のT2強調画像を立体構築し,3次元の情報を得ることが可能となればもともとCTよりも組織分解能にすぐれるMRIの利点を最大に生かし,立体診断や手術前計画などに広く応用できる可能性がある。平成19年度はPSA高値に対する前立腺癌スクリーニングとしてMRIを、前立腺生検前に行いデータを収集し,高精細のT2強調画像と拡散強調画像のフユージョンに関して座標系の最適化を行った。これらの画像から経会陰的な擬似超音波断面再構成画像を作成し前立腺癌及び周囲臓器との関連を明瞭に描出することに努め,拡散強調画像から得られている前立腺癌の存在確率が高いポイントを指し示すことが可能となった。画像の転送や画像再構成ソフトウエアの自動化などのシステム構築はまだ行われておらずマニュアル作業が多いためリアルタイムな擬似超音波断面再構成には至っていない。またMRIの座標系と超音波画像のキャリブレーションに関して最適な方法を模索中である。平成20年度はMRIの3D画像の座標と超音波検査の画像の座標とのリンクおよびリアルタイムにMRI擬似超音波断面再構成画像を作成し,経直腸超音波下に前立腺生検中の術者に情報提供することをめざす。このような環境では簡便に使用可能であるが目的とするものの描出に多くの経験を必要とする超音波という手技のガイドとなり,前立腺癌が最も疑われる部位を短時間で効率的にかつ安全に生検することが可能となるはずである。
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