研究概要 |
汎用液晶モニタを画像診断で使用することの可否を検討するために,電子カルテシステムで使用されている医用画像観察用高精細モニタ(1,600×1,200,最大輝度250cd/m^2)、電子カルテ用汎用液晶モニタ(1,280×1,024,最大輝度250cd/m^2),ノートパソコン(1,024 ×768,最大輝度200cd/m^2)の輝度特性を256階調全てについて望遠型輝度計で実測した。高精細モニタはDICOMのGSDFに準拠した輝度特性を示し,JESRA-X0093の「医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドライン」にある管理グレード2を満たしていたが、他2種の輝度特性はガンマ2.2に準拠し,管理グレード2を満たさなかった。モニタの視野角特性について,水平方向±45°内でモニタ中心の輝度特性を15°ずつ実測したところ、高精細は±15°以内でほぼ不変であるに対し、汎用モニタの2機種は角度をつけるとコントラストが著しく低下した。汎用モニタで画像観察を行うには,角度をつけずモニタ正面から観察することが必須と考えられた。一方,臨床画像では,頭部CT100症例(健常者50例,脳梗塞50例)について,DICOMビューワーソフトであるOshirixを利用してモニタに表示し、健常者の脳実質および脳梗塞のCT値を実測値した。実測したCT値が,Osirixの頭部CT用のウィンドウ条件で表示した際にモニタ上で256階調のどの輝度レベルに相当するか,JND Indexを含め算出し,脳の白質・灰白質および病変部のコントラスト比をシミュレーションにより求めた。頭部CTを表示する輝度領域では,汎用モニタの方が高精細モニタよりも高いコントラストが得られ,汎用モニタでも十分読影に耐えられることが示唆された。
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