平成19年度は画像の入力系、出力計の画質特性の計測とそれらを用いた新しいシステムの開発を主に行った。 1) 位相コントラストマンモグラフィ(PCM)の画像の成立要件を実測とシミュレーションで検証し、一般的な特性を求め、最適なシステムの画質特性と拡大率を同定し、PCMが乳房内での微小石灰化物の検出に有用であることを示した。 2) 液晶ディスプレイ装置(LCD)で表示した画像の粒状性がX線量子モトルによるものであることを実験的に示すとともに、それらが表示装置の階調によらないことを示した。これにより、LCD表示時もX線量子モトルが支配的であることから、撮影条件等でのさらなる解析が必要であることが分かった。 3) LCDの画素をサブピクセルレベルで制御し、3倍の解像度を確保できるようにした。本研究はディジタルマンモグラフィのモニタ診断に大きく貢献することが予想される。また、本研究の内容は東京特殊電線株式会社と共同で特許申請に至っている。 4) 画像をLCDで拡大あるいは縮小して表示する場合の種々の方法を用いて得られた画像の鮮鋭度と粒状特性を計測し、最適な表示方法について検討した。その結果、縮小と特異点を除いた拡大では画像の劣化があることがわかった。 5) ディジタルマンモグラフィの最適管電圧をコントラストが一定になるようにした画像で、粒状性を尺度として評価した。その結果、システムによって管電圧特性が異なることがわかった。 6) CT画像において動的輪郭モデルを用いた側脳室下角領域抽出法を開発した。本方法を用いることにより、種々の画像の対象部位を自動的に検出し、その特徴量を解析することができる。 7) 胸部X線動画像を用いて、差分画像による腫瘍の検出を行った。本方法を用いることにより、従来の形状のみでなく代謝等の解析に拡張できる。
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