研究概要 |
医用画像系の画質特性の計測法について,ディジタル系の画質特性の標準的なものとして,IEC 62220-1: Medical electrical equipment-Characteristics of digital X-ray imaging devices-Part 1: Determination of the detective quantum efficiency. 2003.やICRU Report 54 Medical imaging-The assessment of image quality, 1996.がある。前者は具体的な測定法に言及し,後者は,画像系を被写体透過後のX線受光系と表示系に分割し,受光系は理想的な観察者が見るということでDQE(detective quantum efficiency)で,表示系は実際の放射線科医が見るということでROC曲線(receiver operating characteristic curve)を用いて評価することを提言している。どちらもSN比を基盤とした評価法であり,低コントラスト画像の評価に優れていることから,雑音の影響下の画像診断の状況に対応した評価法であると考えることができる。現行のディジタル画像は,CR系,FPD系が中心であるが,動画対応FPDなどもあり,その種類は多岐にわたっている。これらの画質の評価法について,我々はこれまで多くの提言を行った。これらの成果は,Yamazaki, KoderaらによるInvestigation of physical image characteristics and phenomenon of edge enhancement by phase contrast using equipment typical for mammography, Medical Physics, 35,5134-5150,2008等に詳しく述べている。結論から言うと,現在の我が国のディジタル画像系の評価技術には問題があり,今後抜本的な改革と技術力の回復,立て直しが必要であることから,本研究で提案する新たなディジタル画像評価システムの確立がきわめて重要になる。
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