研究概要 |
対向型ポジトロンイメージング装置と陽電子放出核種標識放射性トレーサを用いて、医薬品の体内動態を解析する手法を確立することを目的に、1)対向型イメージング装置の感度および感度の直線性、画像の均一性の検証、2)医薬品(11C-diphenylhidantoin)の標識合成技術の開発、3)マイクロドージング(100μg以下)における静脈投与と腸管投与時の動態解析を行った。 3種類の平板ファントム(185mmx250mm、厚さ各々3mm,15mm,40mm)内にNa^<18>F水溶液を封入し、対向型ポジトロンイメージング装置で24時間連続撮像した。感度には、ファントムの厚さ依存性があり、3mm、15mm、40mm厚に対し視野中心部で84,402,785cps/kBq/mlであった。ファントム内の放射能濃度と計数は100kBq/ml以下では直線性が確認された。画像の均一性は、検出器間の感度補正後では視野中心部で1%以内であった。 抗てんかん薬11C-diphenylhidantoin注射液(5MBq)を標識合成し、ラット(雄、250g、n=3)の尾静脈からボーラス投与し、投与直後から対向型ポジトロンイメージング装置で全身撮像を連続20分間行った(1画像/1秒)。標的臓器である脳、および主な代謝臓器である肝臓、排泄経路である腸管、腎臓に関心領域を設定し、放射能の経時的変化を解析した。投与後20分には、投与放射能の1.5%が脳に集積した。一方、投与後20分には肝臓から胆道系を介して十二指腸への排泄、腎臓から膀胱への排泄が観察された。 今年度に確立した医薬品の標識合成技術と撮像装置の定量性評価により、PETマイクロドーズ試験を行うための基盤技術の整備、評価法の妥当性が検証された。
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