平成19年度においては、3T MRI装置を用いたタギング法併用シネMR撮像の初期的な経験とHARP法に基づいた解析プログラムの試験的運用に成功した。 具体的にはタギング法は格子状のタグであるいわゆるSPAMM法のシネMR撮像を、臨床的に壁運動評価が必要であった安定した陳旧性心筋梗塞症例で行い、左室の心基部から心尖部までの情報を得た。この情報には心収縮期のすべての時相におけるタグの方法が含まれており、これは高磁場MRI装置でなければ得られない情報であり、これにより左室のすべての領域のすべての時相のタグ情報が得られた。 この画像を用いて視覚的壁運動評価のみでなく定量的な収縮期壁肥厚率評価も行い、かつ、データをオフラインで別のワークステーションに転送してタグの解析に用いた。 大阪大学とセキュリティの保たれた方法でプログラムのやり取りを行い、HARP法に甚づいた収縮の指標であるストレイン解析を行った。これは歪みの指標であり、壁運動の詳細な情報が含まれている。このうち中心軸方向のストレインであるラジアルストレインを心収縮のすべての時相で算出するごとに成功し、研究者らによって学会(日本磁気共鳴医学会など)や雑誌(日独医報など)で発表して大きな反響が得られた。 今後は撮像では時間分解能と空間分解能の向上、タグ解析方法の簡素化と自動化が必要であり、研究者らによってプログラムの開発を継続する。
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