研究概要 |
近年の磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging : MRI)の発達により拡散強調画像 (diffusion-weighted image ; DWI)を用いた神経線維の走行を描出することが可能となった[Mori S, et al.Ann Neurol 1999]。この手法はfiber trackingやtractographyと呼ばれ臨床応用が進んでいる。しかし,この手法には限界があり、交差線維を乗り越えて神経繊維路の追跡できないことが知られている。このため、この手法で描出される神経線維はあくまでも、全体の一部であることに注意する必要があった。本研究はこのようなtractographyの限界を克服するために計画されたものである。 本研究で試みられたのは従来のsingle-tensor modelのtractographyとは異なるmulti-tensor tractographyの導入[Frank, MRM 2002]である。これにより上記のような交差線維部での追跡エラーの解決が確認された。またb factorを上昇させることにより交差線維の描出が改善することが過去の検討で論証されていたが,我々の検討においてはb factorが1000~3000の間では描出能にさほどの変化がないことが判明した[Akazawa et al, Neuroradiology in press 2010]。
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