研究概要 |
骨PETを、男性7名、女性7名(平均年齢64歳《43歳~81歳》、男性5名、女性7名は甲状腺癌にて甲状腺全摘後骨転移を有する患者、男性2名は正常ボランティア)の合計14名に16回のF-18フッ化ナトリウム(NaF)による骨ボジトロンCT検査(以下骨PET)と12名にTc-99m-HMDPによる従来の骨シンチ検査を行った。骨シンチは、Tc-99m-HMDP 740MBq静注3時間後全身撮像し全身像、胸腹部のSPOT像を作成、骨PETは、F-18NaF 185MBq静注1時間後に全身撮像しMIP像を作成した。すべての画像は診断ワークステーション上の高精細モニターを用いて評価した。定量的には、骨PET、骨シンチ画像上で、骨転移、変形性関節症を示す集積に関心領域を設定しその値を算出し比較評価し、視覚的評価として、病変描出能、分解能、集積態度(軟部集積と正常の骨集積の程度の勘の3点について良・可・不可の3段階評価を行なった。視覚的評価においては、骨PETは病変描出能、分解能、集積態度のすべての項目において良であったが、骨シンチは、病変描出能で、良1例,可10例、不可1例、分解能では可12例、集積態度では、良11例、可1例であった。定量的には、骨PETでは、病変部count/正常骨countにて評価を行なうと骨転移のスコア3.6±1.4、変形性関節症2.8±1.0であり、両者の間に統計学的有意差(P<0.05)が認められ両群の鑑別が可能であったが、骨シンチにおいては、骨転移のスコア1.8±0.7、変形性関節症2.0±0.8で有意差は見られなかった。骨PETによる甲状腺癌骨転移の評価は通常の骨シンチによる評価よりも容易であり定量性も高い可能性が認められた。
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