研究課題/領域番号 |
19591433
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
吉岡 邦浩 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (70210648)
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研究分担者 |
中島 隆之 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50244918)
新沼 廣幸 岩手医科大学, 医学部, 助教 (90382598)
田中 良一 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30393218)
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キーワード | 心臓弁膜症 / コンピューター断層撮影 / マルチスライスC |
研究概要 |
1.撮影条件等の検討:64列マルチスライスCTで心臓動態ファントムならびに正常人ボランティアの撮影を行い次の結果を得た。(1)再構成心位相は、収縮期は15〜35%、拡張期は65〜85%を5%ごとに再構成して最大収縮期と最大拡張期を個々の症例において視覚的に求めるのが適切と考えられた。(2)造影剤は、低濃度(240mgI/ml)、中濃度(30mgI/ml)ならびに高濃度(350、370mgI/ml)の三種類を比較検討したが、高濃度が最も適当であった。(3)被曝低減撮影法は、通常の撮影法と比較して30%程度の低減が図れることが確認されたが、収縮期の画像のノイズが著しく低く、心臓弁膜の診断に供することは困難であると考えられた。(4)画像表示方法は、仮想内視法(Virtual Endoscopy法)とMPR(Multiplanar Refomation)法を用いて、拡張期と収縮期の2時相の画像を示すのが最も適切と考えられた。なお、その場合にはいわゆる外科的視点と同様に頭側から観察したように表示するのが、心エコー図や摘出標本と対比する上で有用と判断された。 2.臨牀例での検討:上記の基礎的検討から得られた撮影、表示条件を用いてインフォームドコンセントの得られた大動脈弁狭窄症あるいは閉鎖不全症の20症例対して臨牀応用を行い次の結果を得た。(1)心房細動や心室性期外収縮などの不整脈を有する症例では、収縮期あるいは拡張期のどちらかの画像は作成できても、両方の心位相の画像を得ることは困難であった。このことから、不整脈を有する症例は今後の臨床応用では除外とすることとした。(2)それ以外の症例では、すべての症例で診断可能な良好な画像が得られた。(3)今後は、臨牀例での検討を重ねるとともに、心エコー図等や手術所見や標本との比較検討を行って診断精度や臨床的な有用性について明らかにしたい。
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