本研究の目的は、担癌マウスをモデルとして、その原発巣からリンパ節への腫瘍関連遺伝子の移行経路をRIと光との双方の特性を利用して、in vivoにてイメージング(ジーンイメージング)することにある。当該の腫瘍に過剰発現するmRNAに対するアンチセンスシークエンスを有するオリゴヌクレオチド(ASODN)を放射性核種(RI)、Tc-99m、および蛍光にて二重標識する。これを担癌マウスの原発巣に局注して、癌からリンパ節への経路をTc-99mにて追跡する。さらに、到達したリンパ節の局在を、蛍光にて同定する。即ち、癌から流れるリンパ管を通じてセンチネルリンパ節(SN)の存在を確認して、蛍光の集積の有無から、SNに腫瘍が転移しているかの判定を行う。研究はモデルとして、腫瘍特性と遺伝子情報の構築されている腫瘍細胞として多剤耐性遺伝子(mdrl)に関係している細胞(KB・31、KB-G2、TCO-1)と、mdrlに対してアンチシークエンスを有するASODNを用いる。本年度は以下の研究成果を挙げた。1.ASODNのTc-99mと蛍光標識の手法を確立することを目的とし、《Tc-99m-ASODN-ビオチン標識体》と《ストレプトアビジン・ビオチン標識ナノ粒子》とを混合するのみで、安定な《Tc-99m-ASODN-ナノ粒子》と《蛍光-ASODN-ナノ粒子》を作成することに成功した。2.《Tc・99m-ASODN-ナノ粒子》がmdrを過剰発現する腫瘍へin vitro、in vivoの双方において、特異的に集積することを確認した。3.《蛍光-ASODN-ナノ粒子》がmdrを過剰発現する腫瘍へin vitro、in-vivoの双方において、特異的に集積することを確認した。
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