核医学診断法は、テーラーメイド医療を実現可能とする、方法の一つである。しかしながら、核医学診断に用いるプローブの開発は不十分であり、その開発が期待される。本研究では、シグナル伝達分子を標的とする新規プローブの開発を目的にアントラニル酸誘導体に着目し、新規SPECT用放射性分子イメージング薬剤の開発を計画した。 前年度の研究までに、シグナル伝達を指標とする癌の早期診断と抗癌剤の薬効評価可能な新規分子イメージング用放射性プローブの開発を目的に合成した放射性ヨウ素標識アントラニル酸誘導体の基礎的な評価を行った。その結果、新規誘導隊は、VEGF-TK活性を有すると考えられた。また、これら化合物の生体内分布は、主要組織である肝臓や腎臓から速やかに排泄されることが確認された。しかし、胃において、脱ヨウ素化と考えられる集積が認められた。そこで、安定性についてインビトロで調べたところ、インキュベート早期から、分解することが示された。一方、癌への集積は、比較的高く、安定性を向上することで放射性分子イメージング薬剤として利用可能ではないかと考えられた。これらの結果より、安定性を考慮したデザインが必要であると考えられた。そこで、新たに3種の誘導体のデザインし合成を行った。その結果、2種の誘導体の合成に成功した。これらの誘導体はいずれも高いVEGF-TK活性を有し、放射性分子イメージング薬剤としての可能性が認められた。新規誘導体は、トリブチルスズキを有する前駆体から高収率かっ短時間での合成が可能であった。得られた放射性誘導体の安定性について検討したところ、インビトロで安定であり、安定性の問題を解決できた。
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