研究概要 |
我々はアポトーシスを抑制するタンパク質Bcl-xLに特異的に結合する低分子化合物BH3I-2'のCl基をF基に置換した化合物FBH-1の18F標識体を合成し、その体内動態を検討してきた。今回新たに構造類似体3種類(FBH-2,FBH-3,FBH-4)の18F標識合成に成功した。サイクロトロンを用いて180水をターゲットとして180(p,n)18F反応で産生する[18F]フッ素アニオン水溶液製造し、テトラブチルアンモニウム重炭酸塩にして活性化した後、十分水分を除去し、DMSO中130℃で対応するそれぞれの標識前駆体化合物(芳香環の4級アンモニウム塩)との求核置換反応を行った。10分間反応後、反応液中の目的[18F]化合物は分取HPLCを用いて分取し、有機溶媒を除去し、可溶化のためエタノールを添加した後、塩濃度を調製して5%エタノールを含有する注射剤として得られた。すべての化合物において放射化学的牧率50%、放射化学的純度99%、合成時間は60分であった。体内分布はいずれも肝臓に非常に高い集積を示し、他の臓器への集積は低かった。また、肝臓での代謝物は60分後でもほとんど見られなかった。今後は、移植腫瘍や、脳虚血モデルを用いた実験を行ない、腫瘍や虚血周辺部での放射能集積について検討し、PET用標識プローブとしての有用性について比較検討する予定である。
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