本研究は、Mn2+造影MRI法により生きた動物個体(ラット、マウス等)を用いて食欲調節の液性伝達および神経性伝達による視床下部における中枢投射を50um-100umの空間分解能で3次元画像化する方法を開発し、摂食促進/抑制因子の視床下部における反応部位を無侵襲、非破壊的に3次元MRI画像化し、同定することを主な目的とした。 本年度は、方法論的立場からは、前年度の成果のさらなる改良、発展を行った。とりわけ、動物個体(ラット、マウス)用のRFコイル/プローブの改良は不可欠であり、感度の向上、生理的条件への適応化を進めた。 また、3D MRI画像データの解析、表示、保存システムについては、クロス・プラットホーム対応化とマルティ・モダリティ対応化したシステム構築への発展、改良を行った。 さらに時系列3D MRIデータの統計的な解析方法としては、パラダイムを仮定した相関分析のみでは不十分であったので、独立成分分析を応用し、刺激に特異的な応答を時間、空間的に抽出できるようにし、刺激のパラダイムに依存しない脳機能マッピングを作成する方法への改良を行った。 ラットやマウスに摂食促進/抑制因子を静脈投与あるいは脳室内投与し、視床下部におけるこれらの因子の反応部位を前年度に確立したMn2+造影MRI法を応用することにより無侵襲、非破壊的に3次元画像化し、同定した。 同様な実験プロトコールにおいて、Fos様免疫活性を用いて、神経の活性化を評価し、視床下部における反応部位をMn2+造影MRI法と比較した。
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