研究概要 |
同位体濃縮度に対するT1ρ値は、昨年度において開発した定量化ファントムにおいて顕著な減少を示し(0.7%atmにおいて自然同位体比の6倍)しており、低濃度水のインジェクションにおける生体計測の期待が高い。そこで本年度は、昨年度までに開発したT_1ρ定量化パルスシーケンス、ラット用高感度受信専用フェーズドアレイコイルを健常ラットに応用し、生体における感度を検討した。GE社製SIGNA 3TバージョンHDを使用し、7-14週令健常ラットをケタミン+セラクタールで麻酔し、尾静脈より同位体濃縮水(H_2^<17>O、0.7atm%)を急速静注し、脳におけるT_<1ρ>コントラストをダイナミック計測した。スピンロック強度を1500Hzより上げると動作が不安定になる傾向があるため、強度を250,750,1500とし、時間分解能を1分としてEPI法によりT_<1ρ>画像を取得した。信号強度は静注直後より有意に減少し、またスピンロック強度をあげるとその傾向は強くなった。静注した同位体水の脳における変化を捉えられたと考えられる。脳実質以外のCSF部においてもその傾向が観察され、脈絡脈絡叢による寄与が考えられたEPI法は高速撮像が可能であるが、原理上スパイクノイズなどにより時間安定性が悪化するときが何回か観測され、定量的な議論を行うためには、統計的な計測を進める必要ある。また臨床応用を考えると、スピンロックを行うためのRFパワーアンプの強度、デューテイ1サイクルなどの仕様は不十分であり、それを回避するための技術開発が必要になってくると考えられた。
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