同位体水の作成は時間とコストがかかり、濃縮度が上げるのは容易なことではない。そこで数%atmレベルでの検出感度を得るために、昨年度までに、T_<1ρ>コントラストを得る撮像シーケンスを臨床用3TMRIにおいて開発してきた。T_<1ρ>コントラストは最も高い検出能があるが、これを得るには、スピンロックを得るための持続的な高周波出力が必要で、高磁場臨床機においては安全性の問題や、ハードウエアの問題があり、昨年度のプリリミナリーな動物実験ではCSFの信号までが変化してしまい、定量的な検討ができていなかった。そこで今年度は、パルスシーケンスの最適化を進め、高周波をより細部に分割してスピンロック時間を最大70ms、送信出力を最大1200Hzとし、擬似連続波出力することにより、この問題をクリアすることを試みた。この最適化により、安定性は確保できたものの、定量性が損なわれる疑念があったため、ファントムで検証し、これまでに確立してきた小動物実験系において評価を行った。ラット尾静脈より7%atmのH_2^<17>Oを1ml静注し、その脳白質のT_<1ρ>値がダイナミックに変化することを確認した。しかしその変化は5%以下であり、シーケンスの改良やパラメータの最適化が望まれる。また今回はダイナミックスタディをT_<1ρ>値の定量で行っているため、定量的な解析が可能であり、本結果を詳細に検討することにより、より最適なパラメータを選択し、時間分解能を向上させることが次の課題である。
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