我々は放射線治療装置から体内に照射されるX線量を常時モニタ測定出来る"放射線シンチレーターを用いた体内埋め込み型マイクロ線量計システム"を開発する事を目的としており研究開発を続けてきた。交付期間内に実験動物体内に埋め込んだシンチレータをLINAC稼動下においてリアルタイムで無線モニタリングが来るまでにしたいと考えて開発を進めてきたわけであるが、本年度では(1)シンチレーターからの蛍光の体内での減衰を調べる(2)今までの結果を元に体内埋め込み可能な程度に小型化したシンチレーター(マイクロドジメーター直径2mm×数cmが目標)を作成する。(3)シンチレーターの周りに蛍光に影響がないような、且つ体内毒性の少ない物質でのコーティングを行う(4)動物実験を予定していたが、(1)シンチレーターからの蛍光の体内での減衰を調べることが非常に難儀し現在も研究中である。現在までに検出光の強度と、X線強度の関係はリニアになっていることが確認され、信頼性の高い線量計システムになり得ることが実証されたが、4cm以上になると値がリニアではなくなってしまうことが大きな問題であった。そのため本年度は4cm以上の肉厚でも光を検出できるシステムを考案し、肉組織において透過光強度の減弱を理論式にまとめるための研究を行ってきた。現在そのシステムの理論値を計算すると、指数関数的に減弱する相関係数R^2=0.9707という非常に強い相関を持つ近似式で近似することに成功した。この結果より、肉厚が10cm程度であれば十分弁別できるカウントを得ることが可能と見られる。
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