研究概要 |
食道扁平上皮癌は予後が非常に悪く急速な進行過程をたどる悪性度の高い癌の一つである。患者個々に適した個別治療に関する研究が進められているなか、化学放射線療法(CRT)に対する感受性マーカーの開発は意義深い。我々はREGI遺伝子が術前CRTを行った後、根治手術を施行した進行食道癌患者の予後を左右することを臨床的検討から立証した。本研究では基礎的な裏付けとして食道癌細胞株を用い、REGI遺伝子の発現と抗癌剤治療および放射線治療に対する反応を検討した。 REGI発現陽性食道癌細胞およびREGI発現陰性食道癌細胞においてシスプラチンO,1,10μMの濃度に対する抗癌剤感受性、0,5,10Gyの照射に対する放射線感受性および両者の併用に対する化学放射線感受性をMTTアッセイを用いて比較した。抗癌剤感受性試験においてREGI発現陽性食道癌細胞は陰性食道癌細胞に比べ、シスプラチン1μM投与時に有意に高い感受性を示した。放射線感受性試験において陽性食道癌細胞は5、10Gy照射した際に有意に高い感受性をした。抗癌剤十放射線感受性試験においてシスプラチン1μMと5Gy投与した際に陽性食道癌細胞は有意に高い感受性を示した。また放射線照射によるアポトーシス変化をカスパーゼ3アッセイを用いて検討したところ、REGI発現陽性食道癌細胞で有意に高いカスパーゼ活性を認め、放射線によるアポトーシス変化が誘導されやすいと考えられた。 以上の結果からREGI発現陽性食道癌細胞は陰性細胞に比べ高い放射線感受性および抗癌剤感受性を有することが示された。
|