研究概要 |
(1)Wobbler法における高速線量計算法の確立:5mm□で異なる底厚(20-80mm,10mmおき)を持つ直方体のボーラス要素(材質:サイコウッド)を通過する陽子線が水中で作る線量分布を7つのパラメータを持つ2次元ガウス型Penumbra関数を使って高速計算する方法を開発した。この計算法を任意のボーラス条件(位置と厚さ)、任意の線量計測水中深度の条件に適用できるようにした。これによりBolus要素の集合体であるBolusを通過する陽子線の水中線量分布を計算できるようになり、ボーラス形状最適化の要素技術が完成した。 (2)Wobbler法におけるBolus形状最適化法の検討:PTVとその周辺の目標線量の設定法、線量評価点のサンプリング法による計算点の低減法について検討した。 (3)Wobbler法におけるBolus要素の表面散乱効果の検証:測定結果に見られるBolus要素周囲のBrassコリメータでの表面散乱効果を簡易モンテカルロ計算で評価したが定量的に十分な再現性が得られなかった。引く続き検討する。 (4)試験用のボーラスをいくつか作成し、HIMAC生物ビームラインにおいて160MeV陽子ビームを使い、これらのBolusを通過した陽子線が水中で作る線量分布を水ファントム検出器(水平方向に2mmピッチで置かれた96channe1の平行平板電離箱)を水中で深度方向に移動しながら測定した。測定結果を、開発した高速計算法で計算したものと比べたところ良い一致を見た。 (5)2重リング2重散乱体法における正確な解析的線量計算モデルを使いBolus要素を通過する陽子線の水中での線量分布を、分布の中心を通るx方向、y方向の1次元Lateral分布をサンプル点で計算し、それをスプライン関数でそれぞれフィットしたものの直積で分布を計算する方法で計算の高速化と精度の保存を実現した。
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