我々の考案したタングステン粒によるIMRT照射野一体形成について、従来法と比較した利点を解明し、呼吸追従IMRTを実用化することを目的とした研究を実施した。固体IMRTフィルタの作製法の確立:発泡スチロールにコンピュータコントロール掘削機で任意形状の穴をあけるシステムの動作を確認した。小タングステン球(2mm)を詰め、アクリル板で挟む装置を作成した。発泡スチロールはX線吸収がないので小タングステン球部分が減衰フィルタとなる。IMRT照射野フィルタは、治療装置のアダプターと同寸法であり、現行の治療システムに取り付けられる。治療計画装置と3次元掘削器は、現在保有しているものを使用し、良好な連携動作を確認した。シミュレーション:EGS4およびBEAMnrcモンテカルロシミュレーションシステムを使用して、開発した照射法による線量分布を求め、従来法と比較検討した。その結果はよく一致した。またビームハードニング減少についても確認したが、影響は少なかった。ファントム作製:呼吸移動を模擬できる移動台およびファントムを作製した。移動台はリニアーモータを用い、コントローラにより任意の周期で移動できる。移動範囲は4cm程度2秒周期程度が可能なものとした。またプログラムにより移動パターンも任意に変更できるものである。設定と実際の動きを比較し、追従性を確認した。2次元線量分布測定;線量分布はEDR2測定用フィルムにより求めた。照射後フィルムをスキャナで計測し、線量計等での測定結果と対比し、線量分布を得た。
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