研究課題
62Cu-ATSM(62Cu-labeled Diacetyl-Bis(N4-Methylthiosemicarbozone))は選択的に低酸素細胞へ集積するPETトレーサーとして知られている。今年度はこの薬剤を用1いた臨床試験を婦人科腫瘍の患者で開始し、その初期解析を行った。臨床試験は施設の倫理審査委員会にて許可されている。対象は、放医研で2007年4月から2008年12月までに放射線治療を行った婦人科悪性腫瘍17名で、いずれも書面にて同意を得た。年齢の中央値は64歳(39-74歳)、疾患の内訳は、子宮頚癌16名(扁平上皮癌9名、腺癌7名)、膣悪性黒色腫1名である。治療前と治療後1ヶ月目の時点で、62Cu-ATSM-PETおよび11C-Methionine-PETを撮影し、腫瘍と大殿筋への集積の比(Tumor/Muscle ratio)を算出し、臨床的因子との関連を検討した。腫瘍の大きさとT/M ratioには明らかな相関は認められなかった。組織型別にみると、腺癌では扁平上皮癌に比べてT/M ratioが低い傾向がみられた。次に、62Cu-ATSMの腫瘍内分布により、central type(中心部に分布),diffuse type(びまん性に分布),peripheral type(辺縁に分布)と分類し、腫瘍径や組織型との関連を調べた。腫瘍径と分布パターンには相関がなかった。一方、diffuse typeは扁平上皮癌に多く(4/5名)、peripheral typeは腺癌に多い(4/5名)傾向が認められた。11C-Methionine-PETとの分布は扁平上皮癌では類似しているものが多かった(7/7名)。以上から、組織型による腫瘍の個性が薬剤の集積に反映されている可能性が示唆された。今後さらにその遺伝子プロファイルを検討する予定である。
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