研究課題
FGF2はHIF1などとともに腫瘍の血管新生に関わり腫瘍内低酸素細胞との関連が注目されている。子宮頸癌症35例の治療前、9Gy照射後のサンプルを用いてFGF2, laminin, and CD44の免疫組織化学染色を行い、2年時までの初期照射効果との関連を調べた。FGF2発現とLamininの不連続性は照射後に有意に増加していたが、CD44には明らかな変化は認められなかった。FGF2発現が強く認められた症例では初期治療効果は良好であった。FGF2の発現は予後不良員であることが示唆された。腺癌系腫瘍(腺癌、腺扁平上皮癌)は放射線治療に抵抗性であることが知られているが、その生物学的背景については十分に明らかとはされていない。我々は、87例の子宮頸癌症例の腫瘍サンプルを用いて腺癌系腫瘍(n=31)と扁平上皮癌(n=56)のマイクロアレイ解析および定量的PCRを行った。その結果、Villin-1(VIL1)の発現が組織間で異なることを見出した。VIL1の免疫組織化学染色を行い、予後との関連を調べたところ、VIL1発現群は有意に無病生存率が不良であった。VIL1マーカーと組織学的病理診断の対比はさらに65名の患者サンプルにおいて解析され、腺癌に対する感度は52%、特異度は100%であった。このことから、VIL1陽性の子宮頸癌は謬リ組織学的特徴を反映するだけでなく、放射線抵抗性腫瘍の指標としても有用であると考えられた。
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