研究概要 |
〔背景〕NF-κBの核内への移行を阻害するDHMEQはラットの小腸虚血再灌流障害において抑制効果を示し、これまでに平成19年度の日本小腸移植研究会で発表し、平成20年度のJournal of Surgical Researchl49, 69-75に掲載された。H20年度は当初、大動物実験を予定していたが予算の都合から小動物を用いた炎症性腸炎モデルを用いてDHMEQの効果を検討した。〔方法〕In vitro : HT29株をLPSで刺激しIL-8をELISA法で測定、DHMEQを添加しIL-8産生抑制効果を検討した。In vo : c57/BL/6マウスに2または3%のDSSを飲水させて大腸炎を誘発した。無治療群をコントロール群、治療群はDHMEQ(20mg/kg)を連日腹腔内投与、また対象治療群として5-ASA(100mg/kg)を連日直腸内投与し、大腸炎抑制効果を検討した。〔結果〕DHMEQは2.5μg/ml以上でIL-8産生を有意に抑制した。コントロール群では、3%DSS飲水4日目で4/6例、5日目で全例が肉眼的血便を呈したが、DHMEQ投与群のそれは2/6例であった。一方、5-ASA投与群はコントロール群に対して改善を認めなかった。2%DSSモデルでも同様の傾向が認められた。〔結語〕DHMEQはマウスDSS誘発大腸炎に対して抑制効果を認めた。以上の内容は、平成21年度の日本外科学会と米国のDDWにおいて抄録が採択され発表予定である。
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