研究課題
基盤研究(C)
Nuclear factor-κB (NF-κB)は炎症惹起因子である敗血症、活性酸素などの刺激により腸管で活性化されることが知られている。このNF-κBの核内への移行を阻害する新規NF-KB活性阻害剤(DHMEQ)を用いたラット小腸虚血再灌流障害に対するNF-κB阻害作用の効果について検討した。その結果、ラット60分小腸虚血再灌流障害モデルにおいてDHMEQ治療群は無治療群と比較して、生存日数の有意な延長を認め、再灌流後の小腸組織血流量を良好に維持できた。また、DHMEQ治療群は炎症性サイトカインであるTNF-αとIL-6の産生を有意に抑え、病理組織学的に小腸および遠隔臓器である肺障害をも軽減できた。翌年度は、これらの知見から潰瘍性大腸炎のモデルであるマウスDSS誘発大腸炎モデルに対してもDHMEQの治療効果が期待できると判断し、その有効性について検討した。結果、DHMEQ治療群はコントロール群と比較して炎症性サイトカインであるIL-8を有意に抑制し、臨床症状である血便の改善を認めた。以上より、DHMEQはラット小腸虚血再灌流障害およびマウスDSS誘発大腸炎モデルに対して抗炎症効果を示したとの結論を得た。
すべて 2008
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J Surg Res Sep : 149(1)
ページ: 69-75