研究概要 |
成人間生体肝移植における移植肝臓の過少グラフトは,術後の遷延性機能的胆汁欝滞および難治性腹水を引き起こす。これを克服するために,ラット肝切除モデル、肝移植モデルにおける絶対的機能的肝細胞不足を補助すべく,骨髄幹細胞から分離した肝細胞を移植し,過少グラフト障害を軽減させるための研究を行っている。 (ラット成体幹細胞の分離培養と肝細胞分離法の確立)ラットより骨髄細胞を採取し,CD34といった幹細胞特異的なモノクローナル抗体を用いて骨髄幹細胞を標識した。これに基づき,cell sorterによる骨髄細胞の分離を行った。マウス幹細胞にActivinAとBMP4を用いると肝特異細胞へ分化することが報告されており(NatBiotechnol2007;24:1402-11),この方法により分離したラット幹細胞が肝特異細胞へ誘導されるか実験中。 (ラット肝切除モデルへの応用)すでに確立されたラット90%肝切除モデルにおいて,分化誘導した肝細胞を移植し生存率、生化学検査などで過少グラフト障害が軽減されるか検討予定。 (ラット部分肝移植モデルの確立)ラット部分肝切除モデルを当教室で確立すべく実験中。本モデルを用いて誘導した肝細胞併用により過少グラフト障害が軽減されるか否か検討予定。
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