研究概要 |
マクロファージでTRPV2は血清・fMLPなどの刺激によりPI-3キナーゼ依存的に細胞膜に移行し、持続的な細胞内カルシウムの上昇を生じる。細胞膜上のTRPV2局在を検討すると、TRPV2はfocalcomplexの特殊な形態であるポドソーム周辺に集積する。ポドゾームは細胞接着・遊走に重要な構造であるが、そこにはRho,Rac,Cdc42などの低分子量G蛋白、gelsolinなどのアクチン制御因子、Pyk2、Srcなどのキナーゼなどが集積しTRPV2と共局在している。細胞膜直下のカルシウム濃度をモニターすると、ポドゾーム周辺でカルシウム濃度が大きく増加している。ruthenium redの投与・TRPV2ノック・ダウンによりポドゾーム近傍のカルシウム増加が消失する。カルシウムによりPyk2の活性化が起こるが、pyk2の活性化はTRPV2のノック・ダウンにより抑制される。さらに、またTRPV2のノック・ダウンによりポドゾームの数は大きく増加する。一方、pyk2のdominant-negative変異体を導入するとポドゾームの数は大きく増加した。逆にionomycin投与によりカルシウム流入を増加させるとポドゾーム数は激減する。TRPV2のポドソーム局在は、カルシウム流入増加・pyk2活性化を介してポドゾームのターンオーバーを制御し、これがマクロァージの接着、細胞運動に重要であると考えられる。
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