研究課題
閉塞性動脈硬化症とBuerger病の発症原因に関して歯周病菌の関与が示唆されているが、発生部位や発症年齢が大きく異なる。今回の研究では両病態の相違に焦点をあてて、(1)歯周病菌による血小板凝集の機序と形態学的変化、(2)加齢による血管内皮細胞への歯周病菌侵入の変化、(3)ASO症例における血清抗体価について検討した。歯周病菌ATCC33277と多血小板血漿(PRP)を混合し血小板凝集能を測定し電子顕微鏡にて形態学的変化を検討した。歯周病菌と全血を混合し、FACSにてCD62p陽性、fibrinogen結合陽性となった血小板を評価した。HUVECに放射線を照射し歯周病菌の感染率、LCIII、細胞内転写経路をwestern blottingで評価した。歯周病菌は、PRPとの混合により血小板凝集を惹起し、電子顕微鏡では血小板の変形とともに歯周病菌の取り込みが観察された。全血との混合では凝集反応は惹起されず、collagenやADP添加により凝集反応が認められ、歯周病菌の濃度依存性に凝集反応が増強していた。FACSによる検討では、CD62p陽性、fibrinogen結合陽性となった血小板が有意に増加していた。加齢HUVECへの感染率は有意に上昇したが、 LCIIIと細胞内転写経路は抑制されていた。ASO症例で歯周病を有する症例では、Pg菌などの歯周病菌にIgG抗体価が有意に上昇していた。歯周病菌は血小板を活性化するとともに血小板に取り込まれ、生体内では血小板に取り込まれることにより血中を移動し血小板血栓を形成する可能性が示唆された。また加齢により歯周病感染が亢進し、粥腫形成に寄与している可能性が示唆された。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Ann Vase Surg 22
ページ: 412-416
Thromb Res 122
ページ: 810-819
Thromb Res 123
ページ: 122-129