(目的)血清中のMatrix Metalloproteinase-9(MMP-9)が、脳浮腫の原因であること、そしてそのメカニズムを明らかにする。 1.Azoxymethane(AOM)の腹腔内投与による劇症肝不全モデルにおいて、肝性脳症III〜IV度において、血清中のproMMP-9およびactiveMMP-9濃度は、コントロールおよび肝性脳症I〜II度に比較して有意に上昇することがGelatin zymographyを用いて確認された。このことより、肝性脳症の進行にMMP-9が関与している可能性が示唆された。 2.Azoxymethane(AOM)の腹腔内投与による劇症肝不全モデルにおいて、肝性脳症の進行に伴い、脳内のEvans blue(EB)量が増加する。特に、肝性脳症III〜IV度で著明に増加することが確認された。また、specific gravity methodを用いた脳内水分量の測定においても、肝性脳症III〜IV度で脳内水分量は著明に増加した。このことより、何らかの原因(MMP-9?)でBlood-Brain-Barrierの障害が起こり、脳浮腫が進行しているが示唆された。 3.Azoxymethane(AOM)の腹腔内投与による劇症肝不全モデルにおいて、MMP阻害薬であるGM6001の腹腔内投与において脳内のEB量および水分量の増加は抑制された。このことは、MMPが肝性脳症の進行の一因である可能性を示唆している。しかしながら、GM6001は、非特異的なMMP阻害薬であるため、Monoclonal抗MMP-9抗体を投与することにより、肝性脳症における脳内のEB量および水分量の増加を抑制することができるかを実験中である。
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