研究課題/領域番号 |
19591480
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
丸橋 繁 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20362725)
|
研究分担者 |
小林 省吾 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30452436)
永野 浩昭 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10294050)
武田 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90397696)
|
キーワード | 急性拒絶反応 / 肝移植 / 胆汁 / 蛋白解析 |
研究概要 |
胆汁解析の基礎的研究としては、まず保存胆汁を用いて、胆汁に含まれる様々な共雑物(胆汁酸、脂質、ビリルビン等は後の分析の妨げになる)を効率よく除去する方法を確立した。さらに、得られる蛋白質画分を可溶化し、SDSゲル電気泳動法により分子サイズにより粗分画を行い、ナノフロー逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI: Matrix Assisted Laser Desorption Ionization)と飛行時間型(TOF: Time of FIight)タンデム質量分析計(MS/MS)の組み合わせにより、蛋白同定を正確に行える質量分析法を確立した。 これらの方法を用いることで、胆汁中の蛋白質分画解析から、全部で221個の蛋白を同定した。これらのうちアルブミンなどの分泌型蛋白が約50%で、細胞質型は22%であった。 また、急性拒絶反応が肝生検で確認された患者における、胆汁(術後1日目、4日目、14日目)を用いた変動解析では、合計78個の蛋白質が同定された。これらの3者間での変動を元に解析を行い、術後1日目から4日目に増加し、さらに14日目で減少した蛋白に注目した。蛋白ID13、ID65ではこの変化が顕著であり、拒絶反応のマーカー蛋白の候補と考えられた。 本研究の成果から、急性拒絶反応時に胆汁中に増加する蛋白を同定することができた。また、同定された候補蛋白の胆汁検体中の量を測定することにより、急性拒絶反応を、非侵襲的かつ正確に診断することができる可能性が示された。
|