研究課題
【研究目的】移植用膵島の「長期保存・品質管理技術」の確立を目指し研究を行った。【研究方法および研究結果】平成19年度ではオートファジー様細胞死が実際に移植用膵島に発生することを明らかにした。平成20年度では、そのオートファジーが膵島の内分泌機能にどのように影響するのか、膵島保存に影響するのかを解析した。BL6マウスより分離した膵島を1または10ng/mlのラパマイシンで24時間処理しstatic incubation assayを行い、インスリン分泌能を比較検討した。野生膵島ではstimulation index(si)が1.38±0.16であったが、ラパマイシン処理した膵島のsiは、1または10ng/m1ラパマイシン処理で各々、1.ll±0.01、1.02±0.Olとインスリン分泌能は強く抑制された。しかし、オートファジー阻害剤である3-methladenine(3-MA)により膵島を処理するとsiは1.43±0.20、1.22±0.09へと著明に改善することを確認した。さらに、この現症がオートファジー誘導により起こっているのかを検証するため、理研バイオリソースセンターよりAtg5KOマウスを購入し解析した。このKOマウスではオートファジー実行遺伝子であるAtg5が発現していないためオートファジーが誘導されない特徴を持っている。このKOマウスより膵島を分離し、上記と同様の処理を行った結果、ラパマイシン処理にてもsiは全く低下せず、3-MA処理にてもsiは野生膵島同じ値を示し差はなかった。MTS viability assayでも同様で、ラパマイシン、3-MA処理にてislet viabilityに変化は認めなかった。保存膵島では、3-MAを添加した培地で保存した膵島は、5日保存までは新鮮膵島と有意差のないviabilityを維持できた。【まとめ】膵島にオートファジーが誘導され、それにより膵島のviability、および膵島のインスリン分泌能を強く傷害することを明らかにした。さらに、保存膵島でもオートファジー阻害により、保存に伴う膵島viability低下を回避できることを見出し、新しい膵島品質管理法の確立に向け有意な知見を得た。
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Transplantation Proceedings (In press)
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