研究課題
研究の目的)末梢血及び肝癌組織内におけるTregの増加とCTLの不活化を証明し、CD25強陽性のTregを選択的にブロックすることによる、CTL再活性化の可能性を検討する。免疫抑制剤は、臓器移植を行ううえで、必要不可欠のものであるが、Tregの特性を理解したうえで、より選択的に必要なリンパ球分画のみを一過性に排除しうる、免疫抑制剤の種類を確認する。研究の成果)生体肝移植患者の術前術後における末梢血CD4+CD25+T細胞及びFoxP3陽性T細胞の分画を検討した。非肝癌患者7例における生体肝移植術後の末梢血CD4+T細胞中のCD25+T細胞は平均2.8%、その内FoxP3陽性T細胞は75.2%であった。生体肝移植術後肝細胞癌が再発せずに経過している20例と肝細胞癌が再発した3例において同様の検討を行った(全例カルシニューリン阻害剤投与下)。非再発例における末梢血CD4+T細胞中のCD25+T細胞は3.4%、再発例では5.7%であった(p=0.53)。末梢血CD4+CD25+陽性T細胞中のFoxP3陽性T細胞は非再発例で67.9%、再発例で26.1%であった(p=0.002)。肝移植後肝細胞癌再発患者の末梢血において、FoxP3細胞の割合が有意に低下している事がわかった。肝癌再発例では、CTLが活性化し、Tregが減少している可能性が示唆された。これまでに同様の報告はなく、肝移植後の免疫系の変化を知る上で、貴重な研究成果となると考えられた。
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