研究課題/領域番号 |
19591486
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
杉谷 篤 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00294934)
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研究分担者 |
中野 賢二 久留米大学, 大学病院, 准教授 (00315061)
片野 光男 九州大学, 医学研究科, 教授 (10145203)
永井 英司 九州大学, 大学病院, 助教 (30264021)
北田 秀久 九州大学, 大学病院, 助教 (10403958)
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キーワード | 免疫学 |
研究概要 |
以前より脾臓合併移植によるグラフト保護効果が報告されてきたが、その明確な機序は明らかになっていない。「研究の目的」で提示した、1)膵脾合併移植による生着延長と制御性T細胞(Treg)の動向、2)今回、Tregの関与と作用機序の解明、について興味深い結果を得た。 実験はHigh responder combinationであるDA, LEWを用いた。レシピエントであるLEWには術前にSTZを静注し糖尿病を誘発した。手術はドナーの膵、脾、十二指腸を一塊にレシピエントの腹腔内に移植した。評価は、graft survivalに関しては血糖が再上昇した時点で拒絶と判断し、制御性T細胞はCD4,25をFACSで、Foxp3をRT-PCRとFACSで解析し、制御性T細胞(Treg)の動向を調べた。またドナー由来の細胞を検出するためにドナーのMHCに特異的な抗体を用いた。 膵移植群と膵脾移植群を作成し、それぞれにタクロリムス(Tac)を術後4日間投与した群を作りControl群と併せて5群で比較検討したところ、膵脾合併移植+Tac術後4日間投与した群でのみ有意なグラフト生着期間の延長を認め、組織でも膵グラフトの構築が保たれていた。そのグラフト保護効果とTregの関与についてRT-PCRで見てみると、生着延長群では脾グラフト内にTregがより長期間保たれており、ドナー由来のTregも自己脾、脾グラフト内により長期間存在していた。 そこで自己脾の重要性を検証するため、この群で移植再潅流直前に自己脾を摘出した群を作成しグラフト生着期間を比較したところグラフト保護効果は保たれた。グラフト脾が何らか関与しており、レシピエントのTcellが持続的にグラフト脾にさらされると、Tregに変化して免疫寛容を誘導しうる可能性が示唆された。
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