研究概要 |
マウス結腸癌株CT26を用いたin vivo実験系において,抗マウスPD-1阻害抗体投与により、肝転移は有意に抑制された.またCD4およびCD8 depleting抗体投与により、この抗腫瘍効果がCD8陽性T細胞依存性であることが判明した.したがって、PD-L/PD-1経路が癌転移にも重要な関与を果たしていることが示唆された.さらに抗マウスCTLA-4阻害抗体によるB7/CTLA-4経路との同時阻害により、肝転移抑制に対して相乗効果がみられることが明らかとなった.さらにこの両者の抗体の併用は、確立した皮下腫瘍に対しても腫瘍の退縮をもたらした.腫瘍内では,抗体治療の後に、出血,細胞浸潤、壊死等がみられ、またReal-time PCRにより、腫瘍局所のIFN-gamma、Perforin、Granayme B等の発現の上昇も確認された.したがって、PD-1/CTLA-4同時阻害により,腫瘍内への細胞浸潤促進、局所免疫上昇等をもたらし、極めて強力な抗腫瘍効果をin vivoにおいて誘導する事を確認した.さらに組織学的検討にて肝臓,小腸等に明らかな自己免疫様の異常はみられず、マウスに体重減少等もみられなかったことから、治療の安全性も確認された.
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