研究課題/領域番号 |
19591504
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片野 尚子 東京大学, 医科学研究所, 研究拠点形成特任教員 (50376620)
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研究分担者 |
田原 秀晃 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70322071)
佐々木 勝則 東京大学, 医科学研究所, 研究拠点形成特任教員 (60336394)
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キーワード | トランスレーショナル・リサーチ / ウイルス / 遺伝子 / 免疫学 |
研究概要 |
ウイルスベクターを介してサイトカイン等の治療遺伝子を導入した樹状細胞は癌免疫療法の画期的な手法になると考えられているが、臨床試験薬としての遺伝子導入樹状細胞の品質を定めた公的な基準は存在せず、各実施機関の判断に任されているのが現状である。そこで我々は最終産物である遺伝子導入樹状細胞の品質評価システムの開発を目的として、原料となるベクターと細胞のそれぞれの品質・安定性を明らかにし、その結果をふまえた遺伝子導入樹状細胞調製法の検討を開始した。はじめに治療遺伝子発現アデノウイルスベクターとして、CAプロモーターにhuman IL-12遺伝子(hp40-IRES-hp35)を結合した発現カセットをアデノウイルスtype5の全長遺伝子を含むコスミドベクターに挿入し、293細胞を用いてE1領域欠損非増殖型の組換えアデノウイルスベクター(Ad-IL12)を調製した。Ad-IL12の生物学的特質の評価としてTCID50法によるウイルス感染力価、およびAd-IL12感染細胞の培養上清中に含まれるIL-12タンパク量を選び、それらについて再現性のある方法を確定した。一方、物理的特質の評価として散乱強度比A320/A260値を用いてウイルスベクターの凝集を測定する方法を検討したが、精製ウイルスベクターが高力価でない揚合には測定される個々の吸光度値が低く、信頼性のある散乱強度比が算定できないことが判明したため、別法として白色光源下で凝集の有無を観察する方法を開発した。さらに臨床試験薬の要求事項として-150℃での長期保存に対する容器の完全性を確認する方法を規定した。これらの確立した手法によりウイルスベクターの製造直後の評価値を基準値として、3か月後、6か月後の測定を実施・比較したところ、Ad-IL12の安定性が確認できた。現在、細胞についても品質・安定性評価の検討を進めているところである。
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