研究課題/領域番号 |
19591514
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
廣田 昌彦 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (80284769)
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研究分担者 |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20240905)
大村谷 昌樹 熊本大学, 発生医学研究センター, 助教 (60398229)
山本 章嗣 長浜バイオ大学, バイオイエンス学部, 教授 (30174775)
高森 啓史 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (90363514)
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キーワード | 急性膵炎 / トリプシン / トリプシンインヒビター / オートファジー / PSTI / 膵腺房細胞 / 膵障害 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
膵炎発症におけるトリプシノーゲンの活性化(トリプシン生成)とトリプシンインヒビターによるトリプシン活性の制御(活性阻害)の重要性を解析するために、膵腺房細胞内における内因性トリプシンインヒビターであるpancreatic secretory trypsin inhibitor (PSTI)の発現欠損マウスを作成し解析した。同マウスでは、生後、膵腺房細胞内にトリプシン活性が出現して、同細胞が空胞変性に陥り消失した。その過程には分泌蛋白の処理機構のひとつであるオートファジーの機構が関与していた。次に、膵炎発症におけるオートファジーの意義を明らかにするために、膵腺房細胞特異的にオートファジー惹起遺伝子をノックアウトしたマウス(膵特異的Atg欠損マウス)を作成し解析した。野生型マウスに過剰な膵外分泌刺激をかけた場合には、膵腺房細胞内にトリプシン活性が出現し膵障害が惹起されたのに対し、膵特異的Atg欠損マウスでは、過剰な膵外分泌刺激をかけても膵腺房細胞内にトリプシン活性は出現せず膵障害も惹起されなかった。以上の結果は、1)膵外分泌刺激時には、分泌蛋白の品質管理・処理機構としてのオートファジーの結果トリプシンが生成するが、通常はPSTIによりトリプシン活性は阻害されて膵障害は生じない、2)過剰な膵外分泌刺激の結果、生じたトリプシンの活性がPSTIの制御活性を超えると、連鎖的な膵消化酵素の活性化を生じて膵障害を生じる、ということを意味する。
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