研究課題/領域番号 |
19591515
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
永山 稔 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40398326)
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研究分担者 |
平田 公一 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50136959)
水口 徹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30347174)
木村 康利 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80311893)
目黒 誠 札幌医科大学, 医学部, 助教 (50448601)
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キーワード | 術後黄疸 / 胆汁うっ滞 / MRP2 / LPS / 肝門部血流遮断 / 感染症併発モデル / プロテアーゼインヒビター |
研究概要 |
(研究の目的と重要性)肝臓外科における問題点として、大量肝切除後胆汁うっ滞の予防と治療がある。本研究では解剖学的にヒトに近い豚を用いて肝切除モデルならびに肝切除術後にLPSを投与した感染症併発モデル(two hit theory)を作成し、プロテアーゼインヒビター投与による肝障害抑制効果について検討を行うとともに、肝組織Multidrug resistance proteln2(MRP2)の発現の動態解析、血液生化学的変化や組織学的変化との関連性を検討することを目標とした。(方法)肝切除などの手術実験とそれら侵襲による肝障害の変化について検討を行った。実験群I.体重約20kgの豚を用いてプリングル法としての肝門部血流遮断(15分間遮断、5分間開放)を計8回(総阻血時間120分)併用する25%肝切除を施行して一次侵襲とする。実験群II.実験群Iに加えて、術後にLPS(0.05μg/kg/min)を6時間微量持続静注して二次侵襲とする。実験群III.実験群IIに加えて、メチル酸ナファモスタット(NM)投与群として、肝切除開始時から手術終了まで持続静注する。(結果)各実験群間での比較では、(1)AST値、はNM投与群で低値を示し、(2)総ビリルビン値はNM投与群では上昇を認めなかった。(3)TNF-a, IL-6,HMGB-1はNM投与群で低値を示した。(4)12時間後の肝組織はNM投与群で肝組織壊死による障害が軽度であった。(5)12時間後のアポトーシス陽性細胞はNM投与群で低値を示した。(6)MRP-2染色では群間に違いを認めなかった。(まとめ)肝切除後感染症併発モデルでは、末梢循環不全や高サイトカイン血症により肝組織にnecrosisやapoptosisによる肝組織障害を惹起すると考えられ、NM投与による肝保護効果を認めた。胆汁うっ滞に対しては肝トランスポーター発現低下の関与が疑われたが、本研究では結論は見いだせなかった。
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