研究概要 |
甲状腺乳頭癌の未分化転化には、老化と腫瘍の増大が関与していると推測されるが腫瘍径に依存してテロメア短縮が起きていることとその背景因子である濾胞細胞が老化によるテロメア短縮を認めることは、これらを支持している。甲状腺未分化癌の培養細胞であるOCUT-1を用いた実験(Int J Mol Med, Kammori, et. al.)では、未分化癌はテロメラーゼ活性を維持しつつも他の正常細胞と比較して有意に短いテロメア長を有していた。また、正常な染色体以外に特異的にsubtelomereの欠損を認める11番染色体の増加を認め、テロメア-subtelomere機構が甲状腺癌の未分化転化と関係している可能性が示唆された。 テロメア長測定による正常細胞と癌細胞の鑑別法(特願2005-55726)(2005/3/1)に基づき、食道癌および食道組織で、組織切片上でQ-FISH法により細胞ごとのテロメア長を比較する方法を確立し,これを報告した(Oncology, Kammori, et. al.)。この方法を利用し、甲状腺乳頭癌では、腫瘍径が20mm(T2)を超えると有意にテロメア短縮が出現していた。また、正常濾胞細胞は老化に伴い有意にテロメア短縮を示したが、その他の正常細胞(線維芽細胞等)では有意差をみとめなかった。(下記、学会発表)今後、上記の研究成果を踏まえて、甲状腺の細胞診検体を用いて甲状腺癌の補助診断法として利用できるよう平成20年度も研究を継続する予定である。
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