研究課題
栄養素としてのアミノ酸に各種サイトカインやホルモンと同様の細胞内シグナル活性化物質としての作用があるこが注目されてきている。このアミノ酸によって惹起されるシグナルの一部にmTORを介する伝達系があり、これはKITの下流シグナルとしても知られている。そこで、KITを発現している腸管蠕動運動のペースメーカーであるカハール介在細胞(ICC)に注目し実験を行なった。このICC細胞においてアミノ酸によって惹起される細胞内シグナルの変化が明らかになれば、ICC細胞が欠如している腸管蠕動不全に対して、アミノ酸療法によるICC細胞機能の改善が期待される。そこで、19年度においては、KIT発現細胞であるMast Cellの培養を行い、各種のアミノ酸の添加実験を行った。アミノ酸添加培養細胞におけるアミノ酸構成の変化をアミノ酸分析により検討した。また、アミノ酸添加培養細胞での蛋白合成に関与するシグナル活性化を検討した。しかし19年度における細胞培養実験では、KIT発現細胞であるMast Cellにおいて、各種アミノ酸添加によるアミノ酸発現の変化や細胞内シグナルの有意な変化を証明できなかった。