研究概要 |
HRE2陽性難治性(再発性)乳癌症例に対し、局所細胞免疫療法とTrastuzumab併用による第I/II相臨床試験を施行し、臨床的に重篤な副作用なく奏効例を得た。同併用療法を含めたTrastuzumabの宿主免疫系を介した作用機序について解析する目的で、in vitroにおいて健常人または乳癌患者末梢血単球からIL4, GM-CSFを用いた通法により誘導し、Trastuzumab添加HER2抗原により成熟させ得られたDCの解析を行った。Trastuzumab添加によって得られたDCは非添加例に比し、有意なIL-12p70の産生増加、更にIL-23の増加、IL-10の産生低下が認められた。同Trastuzumab添加により誘導されたDCは、非添加例に比しHER2ペプタイド認識CTLの誘導能が有意に高いことも示されており、TrastuzumabはDCを介した抗腫瘍細胞性免疫の誘導に効果的に働くことが示唆され、細胞免疫療法との併用による相加・相乗的治療効果が期待された(現在投稿準備中)。 現在Trastuzumab治療患者(HLA-A2,-A24症例)の末梢血を用いた経時的腫瘍抗原特異的CTL precourser asayを行い、治療成績との相関についての検討を行っている。今後引き続きTrastuzumab・細胞免疫療法併用症例を含めた末梢血、組織切片等の臨床検体を用いた免疫学的検討を行い、臨床的パラメーターとの相関性について統計学的検討を行っていく予定である。
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