研究課題
乳癌のエピジェネティックな異常を新規に同定した。1)乳癌のDNAと非癌のDNAとの間で、MS-RDA法によるゲノムサブトラクションを行い、メチル化感受性酵素HpaIIを用いて80個の独立クローンを得た。それらのうち33個(41%)がCpGアイランドに由来していた。MS-RDA法により同定したASCL1は乳癌細胞株8株中6株(75%)にメチル化異常が認められた。乳癌症例でも21症例中9例(43%)にメチル化異常が検出され、比較的高頻度な異常であることを明らかにした。さらに、乳癌診断マーカーの候補となるエピジェネティックな異常の明らかにするため血液由来のDNAを用いた解析を行った。メチル化異常の定量的な解析により、乳癌患者および年齢をマッチさせた正常コントロール各22症例での比較検討の結果、感度91%および特異度91%のクローンを新規に同定した。2)microRNAはnon-coding RNAの一種であり、標的mRNAに結合し、翻訳を制御することによりタンパク質の発現異常をもたらす。トリプルネガティブ乳癌細胞株MDA-MB-468を用い、microRNA発現のアレイ解析を行いトリプルネガティブ乳癌細胞株で10倍以上に発現が亢進しているmicroRNAとしてhsa-niiR-200aなどの6種類を同定した。また、乳癌細胞株で発現が10分の1以下に発現が低下しているmicroRNAとしてhsa-miR-137などの3種類を同定した。これらの異常の一部には、メチル化異常によるエピジェネティックな分子機構が関与していることが示された。
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Carcinogenesis 30
ページ: 466-71
Clinicopathological analyses of triple negative breast cancer using surveillance data from the Registration Committee of the Japanese Breast Cancer Society Breast Cancer(印刷中)