研究概要 |
十二指腸液の食道逆流による食道腺癌発生モデルにおいて,ウルソデオキシコール酸(UDCA)とメシル酸カモスタット(CMM)による発癌への影響を検討するため,まずラットを用いて十二指腸食道逆流モデルを作成した。すなわち,7週齢のWistar雄性ラットを用いて,エーテル麻酔下に胃を全摘後,空腸を起始部から約4cmの部位で食道の断端に端側吻合した。 合計136頭に手術を行い,それらのラットを無作為に以下の4群に分類した。(1)UDCA投与群36頭(2)CMM投与群36頭(3)UDCAおよびCMM投与群24頭(4)コントロール群(非投与群)40頭,現在作成は順調に行われ目標数に到達している。 UDCA投与群は0.4%UDCAを,CMM群は65mg/kg/dayを経口的に投与し,UDCA+CMM併用群では両者を単独投与と同じ濃度で摂取させるものとし,これらを手術後1週目から40週目まで投与し,その後屠殺を行い,各群において,炎症の有無を判定し,腫瘍が発生している場合は腫瘍の個数,大きさを測定する予定である。 一部のラットを用いて胆汁酸分析を行った結果,UDCA群においてはコントロール群に比較して有意にUDCAの濃度の高いことが判明した。またその分コール酸の値は有意に低値であった。今後は組織を用いて,病理組織学的検討を行うとともに,cyclooxygenase-2,PAR-2の発現やprostaglandin E2の産生量を検討する予定である。
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