(1) ATl阻害剤(Candesartan)とTranilast併用による増殖抑制効果の検討 胃癌細胞株OCUM-2M-D3をもちいてMTT assayにより検討したところ、Tranilast単独において濃度依存性に増殖抑制が認められ、Candesartanとの併用効果も認めた。 これらの増殖抑制効果はCaspese3の活性化や抗アポトーシス蛋白であるSurvivinの発現低下によるアポトーシスによるものであることをWesternblot法にて証明した。 (2) 胃癌組織における肥満細胞浸潤とtriptase発現についての検討 胃癌切除標本をトルイジンブルー染色すると、非癌部ではほとんど肥満細胞は認められないが、癌浸潤部周辺に多くの肥満細胞を認めた。さらに、肥満細胞から分泌されるMast cell tryptaseが肥満細胞に一致して強い発現を認めた。胃癌組織中のAngio tensin II濃度が正常組織に比べ高濃度である機序として肥満細胞から分泌されるMast cell tryptaseによるAngiotensinogenからAngiotensin IIへの変換が関与しているものと考えられた。 (3) マウス腹膜播種モデルにおけるTranilastの効果 胃癌腹膜播種細胞株OCUM-2M-D3を1×10^7個腹腔内投与し、移植1週後からTranilastを10mg/kg投与したが、コントロールと比べ生存率に差を認めなかった。
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